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新規事業の事業見える化コラム

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執筆者の写真高材研

販売部長に捧げるステージゲート法

企業がある程度の大きさになると、いくつかの事業部門に分かれます。そしてその事業部門の中には販売部門、開発部門、製造部門に分かれていきます。そこに横ぐしの組織として、管理部門、財務・経理部門、人事部門、法務部門、広報部門などがあるのが一般的です。これは、事業部制組織という名前で経営学のどの教科書にものっているものです。そして、企業は年次の事業計画を作ります。フィスカルイヤーの年頭に、「今年も我々を取り巻く環境は厳しいものが続くだろう。それに対して我々はもっと経費を削減し、かつ売上をあげて利益を出していかなければならない。そのために組織全体が一丸となってこの難局に立ち向かっていきましょう」という社長や役員の方のご挨拶とともに発表されるものですね。でもこの発表の前には各部門からの数字の積み上げが必要です。製造部門からは工場原価、開発部門からは開発投資、販売部門からは売上計画、それらを各事業部がまとめて、さらに各事業部からできてきたものを全社の管理部門(経理部門の場合が多い)がまとめます。その段階で、「なんじゃこりゃ」という数字だとすると、売上の積み上げ、原価の削減、などが各部門に通達され、各部門はまたそれに基づいて数字を作ります。その結果が全社の年次計画になるわけですが、さらにこの年次計画は通常中期計画に基づいています。というのも、毎年毎年言うことも数字もばらけてしまっては、いったい何を基軸にやっているのかステークホルダーにとって非常にわかりにくいし、信頼できないものになります。


  ここでいうステークホルダーの代表格はもちろん株主ですが、それ以外にも大手取引先などもころころいうことが変わる会社には信頼を置いてくれません。そこで、中期計画を作ることになるのですが、これが大変な作業です。グローバルに発生している環境変化のスピードは、とてもひとりの人が把握し対策できるものではありません。明日は何が起きるかわからないといった状況です。それなのに、5年の中期計画を作れと言われても、言われた方の人ははっきり言って「よくわかりません!」というのがのどまで出かかった解答でしょう。でもそれじゃダメなのです。経営になりません。そこで最近では「5年先を見るのは無理だから3年にしよう」という動きもあります。あるいは、「意味がないので中期計画策定をやめた!!」という英断をする会社もあります。


  しかし、アルゴマーケティングソリューションズは、事業を行う上では中期計画は必要不可欠と考えます。小さい事業だからいらないということもありません。事業をやる以上、すべての事業は中期計画が必要です。問題は、中期計画を策定するプロセスがあまりに煩雑になり、やり直し、書き直しが重なり、多大な工数と時間が必要になってしまうことです。ある会社では、部長クラスは一年中中期計画と年次計画づくりと報告に追われ、実務ができていないとぼやいている声も聴きました。中期計画を業務の目的にしてはいけません。中期計画は事業を確実に行うための道しるべであり、ツールです。だからこの策定には本質的なところをしっかり押さえた上で、効率的に成し遂げる必要があります。この中期計画をコンパクトに策定するのにステージゲート法は向いています。詳しくは、「事業部長に捧げるステージゲート法」の記事を見てください。


  ところで、もともとステージゲート法というのは事業開発を行う際の方法論なので、販売、開発、製造各部門全体をカバーする内容になります。だから販売部長としては縁がないように思われます。ところが、中期計画にしても、それに基づいた年次計画にしても、そのおおもとは売上計画なのです。売上計画を精度よく作る方法があれば、ノーベル賞ものです。これはちょっと大げさですが、とにかくその位、実際と計画をあわせるのは難しいのです。それにも関わらず、多くの場合、実は「あるべき売上計画」の数字はほぼ決まっています。販売部長がどのように考えたとしても、どのように主張したとしても、結局は昨年作った中期計画に基づいて、あるいは昨年の年次計画対比で決まってしまうのです。多くの企業はなんと右肩上がりの売上計画でないと、全体のシナリオが崩れてしまう状況になっています。なんということでしょう。1990年に日本は国際競争力が1位だったのに、2019年には30位になったいるのに。人口がどんどん減っていって、老人だけが増えていく日本なのに。売上計画は右肩あがりでないとだめなのです。もし下がる計画を出そうものなら、大変です。それでも利益を出すためには原価を下げなければならず、経営者が一番意思決定したくない人減らしか、工場の閉鎖、部門の縮小などの仕事が待っているからです。


  それをやるには、それ相応の理由があらゆる部門に必要になるので、販売部長は大変な攻撃を受けることになります。誰だってそんなのは嫌だから、とりあえず右肩あがりの数字を受け入れます。しかし実際にはその通り行くほど現実は甘くありません。だから計画通りいきません。そこでまた販売部長は責められます。でも、下げた計画を押し通すよりは、計画どおり行かない言い訳をうまくやってとりあえず生き残る道の方が販売部長にとっては現実的です。このようなことの繰り返しが多くの企業で行われているのですが、結局どこかで破綻します。それは皆わかっているのに、そのままやっています。これは、第2次世界大戦で大敗した日本軍と基本的に同じなのではないでしょうか?そうならないためにも、中期計画の販売計画は現実に合った形にしなければなりません。しかし、だからといって今見えていることだけで計画したら、売上計画は「事業をやめましょう」と主張しているのと同じものができます。販売部長は計画を下げた上に実績が計画通りいかなかったらそれこそ首が飛びますので、そうならないように自分の命を守るために、非常に低い計画を作るでしょう。これでは事業は成り立ちません。このあたりが非常に難しいところではあるのですが、この問題を解決するためには、ある程度の数字があってそれを達成するための戦略を真面目に考えるというのがひとつの方法です。その方法論として、アルゴマーケティングソリューションズとしては、ステージゲート法を応用して、販売部長がある程度決まってしまっている売上計画を達成するための販売戦略策定のメソッドを完成させました。その名は、「ステージ別販売戦略ブラッシュアップメソッド」です。

販売戦略を策定するにあたって、今一度以下の内容で今の事業を整理します。

  これにより、販売部長のマネジメント範囲でしっかり販売戦略をつくりましょう。そして、売上計画を見事に達成していくしくみを作っていきましょう。

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